かたこりの『た』では、肩こりの3分類と悪い姿勢についてお伝えしました。
かたこりの『こ』では、これからの肩こりの新しい常識をお伝えします。
人の体には、意識的に動かすことできる筋肉があります。筋肉のおかげで、手をあげたり、じゃんけんをしたりと色々なことができます。例えば、二の腕にある上腕二頭筋は、肩と肘などを動かす筋肉として知られています。これらは、関節をまたぎ骨にくっつくことで肘を曲げたりできます。
けど、実は筋肉って全身つながっているって知っていましたか??
『筋肉は全身つながっている!!』
これが新常識です。
筋肉って実は、一本の筋原繊維というものが、束になって筋膜というものに囲まれています。
上記のように、筋原繊維が筋鞘に包まれ、何本かの筋鞘が筋内膜に包まれ、筋内膜どおしを筋周膜によりつながっており、それらを筋外膜が包むという構造になっています。そして、その外側に深筋膜、浅筋膜があります。
以下の表は、上から表層に位置する筋膜から順に書いてあります。
浅筋膜 | 皮下組織の中に存在する最も表層の筋膜 |
深筋膜 | 浅筋膜の下に位置して筋を連結して全身を覆う膜 |
筋外膜 | いくつかの筋周膜を包んで筋肉を覆う膜 |
筋周膜 | 複数の筋内膜を包む膜 |
筋内膜 | 複数の筋原線維を包む膜 |
最近、メディアをはじめ、医療業界でも注目されている筋膜ですが、施術の対象になるのは、深筋膜の部分になります。深筋膜は、筋同士を連結し全身を覆ています。また、全身を覆っているといっても、ただ覆っているだけではなく、それぞれのラインがあり、指から胸にかけてのラインや、足先から頭にかけてのラインなどがあり、計12本ほどのラインがあります。
上記の図は、筋膜ラインの一つ、ディープフロントアームラインという筋膜ラインになります。筋膜というのは、このように指先から胸までつながっており、仮に親指の筋膜が硬くなったとすると、ライン全体に影響を及ぼします。
スマートフォンが流行した現在、親指の使用頻度が非常に多くなっています。また、仕事でのパソコン作業も多くなっていることから指(親指)の筋肉の筋緊張が異常となり、筋膜が硬くなります。親指の筋膜が硬くなると、先ほどお伝えした通り、胸の筋肉まで影響を及ぼします。ディープフロントラインの場合、小胸筋という胸の筋肉に影響があり、小胸筋は肋骨から肩甲骨(烏口突起)についています。肩甲骨についているということは、指が硬くなることで、肩甲骨の動きにも影響を及ぼします。肩甲骨の動きが悪くなると、肩周りの筋肉の血流が滞ります。そうすることで、疲労物質がたまり肩こりとなります。文章だと分かり辛いので、以下に図で説明します。
パソコン作業
↓
指の筋肉の異常緊張
ディープフロントラインが硬くなる
↓
小胸筋にも影響が起きる
↓
肩甲骨の動きが悪くなる
↓
肩周りの筋肉が働かなくなる
↓
肩周りの血流が悪くなる
↓
肩こりが起きる
この流れから、どこの筋肉をほぐすことが大切と思いますか?
肩こりは、結果的に症状として起こっています。原因は全く別の場所にあることが多いです。今回の場合ですと、指!!!
結論からお伝えすると、上記の場合、肩を揉もうが、肩甲骨を動かそうが、小胸筋を揉もうが肩こりの根本解消には至りません。今回の場合、根本解消を目指すのであれば、親指の筋肉をほぐすことが非常に重要となります。
肩こりを解消するのに親指を揉む!!なかなか突拍子もないことをお伝えしたかもしれませんね。
次回は肩こりの解消法についてお伝えします。
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